仕事力と技術力と不安に関する雑文
- 先日「育児など家庭の色々があって自分の時間が確保できなくなった。技術力を高めるための勉強ができなくて不安。」みたいな話を聞いた
- この悩みの直接的な解決方法としては先人の様々な体験談および対策みたいなものが世に出回っているからご家庭の状況に応じて参照すればいい思う
- それよりも「技術力を高めるための勉強ができなくて不安」という点が個人的には気になった
- 技術力とは何か?技術力が高くないとなぜ不安なのか?みたいな話
- 技術力は特に明確な定義があるわけではない
- 例えば著名なOSSにコミットしているとか低レイヤーのプロトコルやインフラをバリバリ実装してるとか競プロで上位勢だとか、挙げ始めたらキリがなく、それっぽい何かはたくさん挙げられそう
- つまるところ技術力というのはその人の理想次第なのではないか
- 技術力が無いとなぜ不安か
- 「今職を失うのではないかという不安」と「将来職を失うのではないかという不安」がある
- 前者に関しては
- 技術力が無いと仕事がこなせない => 役立たずとしてクビになる => 職を失う => 生きていく金がない => 不安、というロジック?
- 後者に関しては
- 技術力が無いと職を得られない => 生きていく金がない => 不安、というロジック?
- どちらにしても技術力の高低によって仕事をし続けられるかどうかが決まるという前提がありそう
- 技術力の高さと失職の可能性
- 確かに技術力が高ければ職を得やすそうだしクビにもなりにくいのは確か
- しかし技術力の有り無しは0か1の離散的な話ではなく、0と1の間に無限のグラデーションがあるはず
- 技術力が0.2の人もいれば0.5の人もいるし0.8の人もいる
- どれだけの力があれば失職の可能性に怯えずに済むのか。はっきりわからない部分が多い。
- 企業ごとに技術力を0.2しか求められない会社もあるし0.8求める会社もある
- 自分の所属する企業はどれくらいを求めているのか、自分の将来働いているであろう企業群はどの程度を求めているのだろうか
- 技術的成長はどれほど必要か?仕事が出来るだけの技術力があれば良いのでは?
- 仕事を最低限こなせるだけの技術力があれば仕事を失わないのではないか
- 少なくとも日本だとそんな簡単に解雇しづらいし
- 仕事を最低限こなせるだけの技術力があれば仕事を失わないのではないか
- 業務外の技術について
- 現状の仕事で必要な範囲を超えた技術を学ぶことはどれだけ重要か
- 例えばサーバーサイドエンジニアがUnityを学ぶのはその人の不安の解消に役立つのかとか
- 不安の解消という観点では今の仕事の延長線上にある未知の技術に手を出す以外の学習は遠回り感があるのでは?
- 現状の仕事で必要な範囲を超えた技術を学ぶことはどれだけ重要か
- 仕事で必要なのは技術力ではなく仕事力ではないか
- エンジニアは技術職と言われることも多いし、仕事を遂行する能力=技術力というような考えをしがち
- しかし仕事を遂行する力、すなわち仕事力は技術力と一致しない(もちろんガチTech企業ならほぼ一致することもあるが)
- これは別に技術力を軽んじている訳ではなくソフトスキルを礼賛したいわけでも無く、仕事に必要な技術力は高々仕事の範囲でしかないという意味
- その仕事特有のドメイン知識や問題の定義・解決能力、チームを巻き込む力など仕事には仕事をこなすために必要なスキルがある
- 仕事とはある目標を達成することなので重要なのは技術力ではなく目標遂行能力だ
- 自分はこの能力を仕事力と定義してる
- 技術力というのはその中で必要になるピースの一つである。だからまずは今の仕事にどういう技術力がどのくらい必要か見極めて必要な分だけ学べば良い
- そう考えると先の若者のように「業務外で勉強する時間がなくて不安」みたいな話についてはとりあえず下記の心構えで上から順に臨むのが良さそうに思った
- 仕事に取り組む上で必要な自分に足りていない技術力を定義すること。まずこれが重要。
- そしてその技術の学習を業務内で出来る限り行う
- 業務に関係のある技術なのでお賃金をもらいながら胸を張ってやるべき
- それでもどうしても足りないのであれば仕方なく業務外で頑張る
- ここに占める割合があまりにも多い場合は、上司のタスク割り当てが間違ってる可能性があるのでまず相談する
- 自分の能力不足の場合、気合いでやる。しかし気合いで血反吐を吐きながらやるのは最終手段。
- ここに占める割合があまりにも多い場合は、上司のタスク割り当てが間違ってる可能性があるのでまず相談する
- 巷のスゴいエンジニアと自分を比べたり膨大で深遠な技術力という怪物を倒そうと頑張るのではなく、まずは自分に必要な最低限のサイズの目標に切り分けてそれだけを相手にするように心がける。まずは不安に囚われず余裕を持てるようになるところを目指す。
- 今職を失うのではないかという不安に関してはこんな感じ
- では将来職を失うのではないかという不安に関してはどうか
- 業務内の時間で仕事にコミットすることで得た知識がそのまま将来の不安を軽減させてくれる可能性もあるし、余裕が生まれたことで業務外でできるようになる好き勝手な技術探求で得た知見が将来の不安を軽減させてくれる可能性もある
- どのみち将来のことはどうなるかわからない
- 10年前のインフラ・サーバーサイド・フロントエンド・各種技術の流行りやスタンダードを思い浮かべてほしい。何が消えて何が残って何が新たに生まれるかはわからんすぎる(ある程度の方向性は予測できるにせよ)。
- そういう意味ではハードウェアやOSやネットワークのような比較的低レイヤーな基礎技術を学ぶのが良いとかはあるかも
- だからといってその辺の知識が将来の失職を予防してくれるかも不明。その時必要となる仕事力がないと結局は不安は拭えない。
- 第一は今コミット出来ることにコミット。そして遠い将来に関しては直感を頼りに逐一betしながら祈る。
- その他色々
- 将来については歳を重ねて技術力どころではなくなり健康力みたいなものも必要そう。健康への投資も重要っぽい。
- 目や腰、その他生活習慣病などのケアに追われている中年エンジニアが自分のTLにも散見されるようになってきた(TLの老化...)。
- 未婚・DINKsなど子育てが無い人は将来職を失うのではないかという不安への投資がしやすいので余裕があるか?
- 先に書いた通り将来に関しては祈り要素もあるので皆等しくほんのり不安なのは同じ
- 置かれた立場によってそれぞれの不安要素はあるものだし、まして子の有無によって発生するもの/失っているものを比較するのは語り得ないものなので踏み込むべきではない
- こういう人生や日常の悩みは現状把握と分解と整理が基本なので一人で抱え込まずに早めに適当に文章にするなり人に吐き出すなりすると良い。当事者だけではるつぼに嵌ってしまう。
- 将来については歳を重ねて技術力どころではなくなり健康力みたいなものも必要そう。健康への投資も重要っぽい。
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